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プーと社畜になった僕〜映画「プーと大人になった僕」感想 [映画]

プーと大人になった僕を見て来ました。

字幕いらないくらいわかりやすい英語。というかあの韻を踏むような台詞回しは楽しい!

この映画を観て、ロンドンに旅行した時の事を思い出した。

当時スマホなんてなく、地図が頼り。

ちょっと隅によって地図を確認しようとした時、先を急ぐような早足のビジネスマンが立ち止まって(正確にいうと足踏みして)「どこに行きたいんだ?」と聞いて来た。

いや、こっちは急がないから誰か暇そうな人に聞けるんだけどというのにもかかわらず、手早く道を教えてくれて走り去って行った。

こういうことが何回かあって、ああ、イギリスの人は「忙しい」と「親切にする」は一緒にしない人たちなんだと思った。

この映画でもそうだ。ユアン・マクレガー演じるクリストファー・ロビンは、時間ぎりぎりの瀬戸際にもかかわらず、お馬鹿なちっちゃい脳みそのくまを見捨てない。

(この場合の馬鹿はsillyであってstupidじゃない)

そしてヒースの咲き乱れる丘で、二人並んで周りを見渡す、何もしない贅沢な時間に癒される。

何もない時間のおかげで、心の奥底にしまい込んだ小さな夢とか希望とか、愛情を手に入れたクリストファーは、ぬいぐるみたちだけでなく、子供や部下にもヒーローになってくれるって、プーさんはさいしょからわかってたんだよね。

これは大人が(ちょっと疲れちゃった大人が)みるといい映画でした。



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hidden figures 隠されていた姿が50年以上かかってやっと見ることのできた真実〜映画『ドリーム』〜 [映画]

 映画『ドリーム』見てきました。この映画は最初 『ドリーム〜私たちのアポロ計画』として最初紹介されました。アポロ?そう、この映画はマーキュリー計画の話だったので、SNSでは散々叩かれ、ただの「ドリーム」になりました。私たちのマーキュリー計画では知名度がないと判断されたのでしょう。計画のコードネームは確かにどうでもいいですもん。でもこのドリームというありきたりなタイトルには勿体無いくらいの映画でした。(多少のネタバレ含みます)

 1960年代、人種開放政策にさからいまだ人種差別の残るヴァージニア州、先端を行く組織NASAでさえ黒人はトイレも仕事場も、服装や昇進の可能性、正式雇用から遠ざけられていた。その上に女性である主人公たちは、その優秀な頭脳や才能を、黒い肌が全て覆い隠してしまい、隠された存在として宇宙計画に参加してきた。それでもひたすらに努力し続ける。卑屈になり文句を言うこともせず、ひたすら自分のなすべきことをする。
 しかしさすがに理系集団、彼女たちの才能を無視できず、計画のためには人種差別なんて言ってる場合じゃないと積極的に女性たちを起用する者が現れ、人生に光が差し始める。
 彼女たちがよくぞここまで心折れずに頑張ってきた、それを一番表現してるシーンが、宇宙特別研究本部に配属されたキャサリンが、有色人種用のトイレを、往復40分もかけてずぶ濡れで戻ってきた時、なぜ席を長い間空けると責められついに爆発するシーン。普段冷静なキャサリンの慟哭のような訴えは、胸が締め付けられるようだった。
 レディーファーストの国なんて嘘だろ、と思う。というか女性まで黒人の女性を動物みたいにあつかっている。最もまだ女性の地位が低くて、彼女らも逆らえば自分の立場が危うくなると言うのは想像に難くない。
 そんな中でも小さなきっかけから認められる事が重なり、「計画に重要なことは優秀な才能を見つける事」と、次々と道が開き始める。
 ちょっとだけ自分と重ね合わせるところもあった。ディレクター会議で女性は私一人だけだったのですが、会議の予定知らせてもらえなかったり、あからさまに下に見られたり……。そんなことで傷ついていたことを思い出してしまった。そういう時に頑張るのってつらいよね、でも頑張ってるみんな、すごい!
 
 この映画では3人の女性が描かれ、それぞれが自分のために今何をすべきかを考えて、自らの道を切り開いて行く姿は、元気をくれる。
 まだ人がやっていない事、現在では不可能な事がある。それならば挑戦だ――今これができればきっと役に立つ、と奮い立つのを見て、自分へのエールと受け取って、明日も頑張ろうと思う。

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映画「インフェルノ」人類を救うって上から目線? [映画]

映画「インフェルノ」を観た。「ダ・ヴィンチ・コード」から3作目のこのシリーズは好きで観ているが、今度は人類の半分を殺すウィルスが拡散されるのを防ぐためにトム・ハンクス演じるラングドン教授が奔走する。

実は私も中学生の時に、人類の半分くらいが滅んだ世界を想像した事がある。この映画は謎解きとトリビアと、世界をめぐるスピード感いっぱいのエンターテインメントなだけでなく、一度は考える「人類は地球にとって有害なのではないだろうか?」というひとつの問いを投げかけているものでもあった。
あ〜、ピュアな若者の思い込みって怖い。自分が微塵も間違っていないという信念には、どんな言葉も響かない。それに、ウィルスを作り出した大富豪で生化学者のソブリスト、世の中の飢餓も病気も経験の無い人が机上の空論で人類の存亡をかけて行動をしてはいけないと思う。

ここでちょっと脱線するかもしれないけれど、イギリスのEU離脱を思い出した。若者達が軽率に離脱すれば良くなると信じて実行し、影響を知って後悔して……ってこの映画の中の、ソブリスト支持者に重ならない?もしウィルスが拡散して、自分も病気になり、親兄弟友人がばたばた死んで行くのを目の当たりにしても同じ事が言えるほどの信念を持った者はいないと思う。
その点主人公のラングドン教授は年を取って、決してアクション向きでなくとも、自分の出来る事を諦めず、でも他人を強要せずに進んで行くのは、とてもいいと思う。

映画の内容にはちょっと引っかかったけれど映像は、すばらしかった。特に冒頭の地獄絵図的なものは、下手なホラーより怖い。ハンガリー、イタリア、トルコの歴史的建造物をめぐるのはわくわくする。どこまでが作り物で、どこが本当のものなのか全然わからない。
そして私も行った事のあるヴェニスやフィレンツェ、美しい。宮殿の隠し扉や抜け道にわくわくする。(私は方向音痴なので、きっと逃げ切れない)
トルコのアヤソフィアや地下の水の宮殿もいった事があるけれど、あの場所でコンサートがあるなんて、もう一度行ってみたい!
実はダ・ヴィンチ・コードを観た後で、テンプル教会とかルーブルに行ったミーハーな私。今度のも行ってみたいものです。


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映画「ポンペイ」もしかしたら [映画]

映画「ポンペイ」見ました。
これはもう……スペクタクル娯楽長大作と見せかけて、厨二が考えたような映画かも。
例によって激しくネタバレです。そして、申し訳ないけど批判的な事を書いていますので
もし映画を見ようとしている人がこれを見かけたら、読まない方が良いです。

しょっぱなから疑問です。石化した人型が映し出される導入部分。あれ?と思いました。
ポンペイの町は、言わずと知れた世界遺産の遺跡。中でも溶岩に石膏を流し込んで、なくなった人の姿を再現した者は有名。石膏を流し込んで作ったものなので、それのある場所は限られています。映画ではあたかも自然に石と化したような描かれ方。

あと火山の噴火による死者は約2000人と言われています。多くはローマなどに逃れています。犠牲者はポンペイにとどまらざるを得なかった人達と言われています。家に財産があり、火事場泥棒を恐れていたなどです。また、大きな地震がその前にあったとき、被害が少なかったので、今回も大丈夫とたかをくくった人もいたらしい。映画ではいきなり噴火に襲われて、逃げる間もなかった様に描かれています。

また、剣闘士たちが奴隷として狭い牢につながれているシーン、あれも疑問です。
ローマ人は侵略するくせに、従った人達に割と自由を与えていました。特に技能職には厚遇を与えて、財を成した奴隷は自由を買う事も出来ました。剣闘士も、スター選手となれば家を与えられ、結婚するものもいました。あまつさえ女性闘士もいたという説がナショナルジオグラフィック誌で紹介されていました。また、死ぬまで殺し合うというのもなく、訓練して手塩にかけた戦士なので、死ぬ前に試合を終わらせる事もしばしば。引退後の剣闘士は後輩の育成の為に訓練士としてそのまま残るものもいました。遺跡からは主人と奴隷の遺体が同じ場所で見つかったりもしていますが、地下で損傷の少ない遺体が発見されたのを調査しても奴隷も主人も同じものを食べていたと言います。もっとも剣闘士に関しては、一般市民が小麦を食べていたのに比べ、筋肉をつけると言われていた大麦を食べていたという説もあります。映画の中では大麦らしきものを食べていたので、この辺は設定してるんだ。

そんな疑問満載で、ふと思ったのは……
もしかしたら石膏像で親が子供をかばったり、寄り添って死んでいた人達の姿を見て「恋人達の姿が永遠に残ったらどうだろう」なんて考えたのでは……。そしていかにして恋人達が、この場所でこんな姿になったのか、それを物語にしようと考えた脚本なんでは?なんてね。それなら肉付けしていくのが悲惨な境遇とか、悪辣な政治家とか、死すべき定めの戦士とか…考えちゃわない?
その他ポンペイを描いた映画ならば、全てが灰に化す時、富も名誉もむなしいものだ、なんてテーマだったりするわけですよそういう教訓的要素が皆無だったのには驚いた。
まあ、あくまでこれは私の勝手な思い込みなので、本当の所は分かりません。でも、安易に人が死にまくる映画、そこに一つの希望も無くっていうのが、私のような昭和の生まれの、映画は美しく楽しませてくれるものと思ってる人間には辛かったんですよ。

され、次は確実に生き残る人がいるノアを見ようっと。
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X-MEN 新しい局面への序章? [映画]

 ヒュー・ジャックマンのファンとしては楽しみにしていた『X-MEN: フューチャー&パスト』見ました。ネタばれ含みますので、見てない人は読まない方がいいかもしれません。
 ウルヴァリンの活躍より、プロフェッサーとマグニートの関係性が今回の萌えどころ…もとい、見どころ。プロフェッサーの若かりし頃の厨二っぽさとか、結局マグニートとは好きでも一緒になれないカップル見たいじゃん…とかキャラ好きには楽しい回でありました。

 でもこの映画、何かを思い出させると思ったら…これって007シリーズやバットマン ダークナイトだなと思った。
 007もバットマンもこれでもかと主要人物や舞台が破壊され、新しい設定や登場人物でこれから続きますよ……のような映画だった。
 もちろん内容は楽しい。新しい出会いや、おなじみの登場人物の新たな一面や、他の登場人物との関係性が描かれていて、ファンとしては楽しかった。でもあ、やり直ししたいんだな、と思わせませんか?キャスト交代の時にそのキャストが劇中で死ぬのと同じ。又は殺しちゃったキャストを何とか取り戻そうという……

 X-MENシリーズは特殊能力を持ったミュータントが同じミュータントを敵として、人類との共存をはかる物語だと思う。力が強みでもあり、異質ゆえに迫害される。その中で自分の居場所を求めてあるものは支配しようとし、あるものは共存しようとする。その中で同種で決してに組んでいないながらも相容れない考えを持つ者達の葛藤が描かれている。ヒーローであろうとしない人達の物語で、悪を許さず、正義を守る事を目的としたバットマンとは違うアプローチですね。

 そして一番似てると思ったのはもちろん「ターミネーター」ですよね!一つの目的で作った最強の兵器が、やがて人類全体への敵となり、滅亡の危機に。それを打破する為には過去に戻り原因を抹消する。ターミネーターの場合は、敵が未来からやってくる話。一方今回のX-MENはこちらが過去に戻る話。タイムパラドックスは?ウルヴァリンの時間はいったい『どの」時間?時間ものには突っ込みし始めたらきりがないのでそれはやめましょう。
 でもね、勝てない敵を作っちゃだめじゃない? 強大な敵に立ち向かい勇気と智恵で勝利するのが王道。それが勝てないんだよ? 唯一の解決策が、原因を取り除くというのが納得がいかない。
 確かに人類のため最愛の仲間を殺そうとする葛藤とか、個々で自分の信念を貫こうとして行動する者たちが、やがて一つにまとまる未来への希望はある。しかし私達現実世界では、そんな斜め上の解決策は無い。ヒーローものは、私達に困難と対峙していく勇気を与えて欲しい。
 そんな理由からモヤモヤしたものをかかえての感想が出て来ちゃった訳ですよ。
 アメコミ映画にこんな事を求めるのは何だとは思うけど……力の無い私達は、今日も戦って、負けて、それでも前に進んでいかねばならない。自分の異質さをミュータントと重ね合わせて、生きていく意味を貰えるような、そんなシリーズにしてくれたらなんて思うのでした。

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スパイダーマンとバットマン [映画]

映画『アメイジング・スパイダーマン』と『バットマン ダークナイトライジング』立て続けに見た。同じマーベルコミック原作でどちらもヒーローながら全く違っていた。
ヒーロー物にリアルさを求めるのはお門違い(リアル、という時点でヒーローはいなくなる)だが、人の感情の細やかさやストーリーの複雑さ、人間の背景、伏線の使い方等、よりバットマンの方が印象深かった。
公開されて時間も立っているスパイダーマンはちょっとばかりネタばれをしても平気かなと思って書いてしまうので、これから見る人はご注意を。
スパイダーマンの主人公ピーター・パーカーは科学者の両親が謎の失踪を遂げ、叔父夫婦のもとで高校に通っている。傷を抱えながらもごく普通のティーンエイジャーとして青春を生きている。ちょっとしたきっかけで力を手に入れるが、最初はただ手に入れた事に有頂天になり、大して考えもせずヒーローとして町の小悪人達を懲らしめる。だから自分が良い事をしているのに、なぜ警察は僕を捕まえようとするんだ!と憤っても見る訳だ。私は原作を知らないので、主人公がなぜ三次元キーともいえる電子錠を、遠目で見ただけであけられたり、科学者に意見をして感心されたり、数式を空で覚えて書けるのかが分からない。バイトをしている様子も無い上に、叔父はガードマン。裕福なガールフレンドの家のディナーにジャケット無しで訪ねちゃうくらいなのに、新素材を買い込んで、投糸機(?)を作ったり、スパイダーマンのスーツを作ったりするお金を持ってるのが不思議。もっともファンタジーなんだからいいじゃないと思うが、ならそれはそれで妙なでティールにこだわらなくてもいいのにとも思った。
最もこの映画の良さは、主人公の成長にあると思う。最初は自分の思いだけ〜なぜ両親はいなくなったのか、誰も理由を教えてくれないのはなぜ〜でいっぱいいっぱい。しかし叔父の死をきっかけに、悪と立ち向かうようになり、少年を助けた事により「人を助ける」事の意味を知る。そして父のかつての同僚により「正義」の意味を考えるようになる。そうしてぼろぼろになりながらも進むピーターの前には、まるで人々が彼に向かい手を差し出しているかのように、いくつものクレーンアームが彼の行く道を指し示すのだ。このクレーンのシーンはお気に入りになった。空を舞うように飛ぶスパイダーマンの姿は優雅で3Dならではの映像を楽しめた。話は次に続く気満々のラストだったので満々のラストだったので、気負わずに見られるヒーロー物として期待したい。

一方バットマンの方はそれとは全く違い、気楽さがどこかに飛んで行ってしまった。
まず映像が凄い。CGではなく実写を多用してなおあの迫力……監督の前作「インセプション」でも度肝を抜かれたが、今回しょっぱなの飛行機から飛行機に乗り移るシーンや、スタジアムの爆破まで実写だというから驚きだ。
そしてストーリーの方も何気なく言った台詞が、あとになってちゃんと意味をなしている。その意味が分かった瞬間の「!」な体験は最後のシーンまで続く。これを見たあともう一度この「ダークナイト」シリーズを見返したくなった。
これ以上書くとネタばれ満載になってしまう。言いたいのはやまやまだけど、初日にそれを書くのはアレなので、ここから先の感想は後日追記で。

「バットマン ダークナイト ライジング」7/28より全国ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/batman3/home.php
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映画「恋とニュースのつくり方」 [映画]

てっきりラブコメかと思って見に行った映画「恋とニュースのつくり方」は、むしろ仕事にかける女の子の成長物語だった。
(ちょっとネタバレしてます)
主人公は三流短大卒のリストラされたTVプロデューサー。それが全国ネットのモーニングショーのチーフ・プロデューサーに採用された。しかしその番組は視聴率最低。起死回生に奮闘する。カンフル剤として投入したのが往年の名アンカー。しかし40年のキャリアを持つ彼はプライドに凝り固まり、ニュース以外の話題には全く非協力的。視聴率は下がり、番組打ち切りの話が出る中、彼女の猪突猛進な番組作りが始まる。
この名アンカーがハリソン・フォード。始終むっつり仏頂面。最初は本当に嫌なやつだと思った。
とはいえこの主人公も最初はださださ。あまりに喋りまくりで正直うざい。
おかげで最初は話の流れに乗りにくかった。
しかしここでダイアン・キートンの体当たり演技で流れが変わる。相撲レスラーの着ぐるみ着るわ、カエルにキスするわと…オスカー女優とは思えない(笑)。しかも本人楽しそう(インタビューでも楽しかったと言っていた)。
モーニングショーがむちゃぶり体当たりショーと化していく。それでもむっつりを続けるハリソン・フォードだったが、ダイアン・キートンとの皮肉の応酬や、ひたむきな主人公によってだんだん感情が表に出るようになる。そこからがこの映画の私的見どころ。え、このおじさん…じつはツンデレ?
すごい嫌なやつが、いつのまにかかわいいと思ってしまうあたり腐ってるなと思う。最後の方にはもう萌え死にそうでしたよ。一言言えばすむ事なのに、こんなに遠回しするか!
主人公のレイチェル・マクアダムスは、最初は野暮ったかったのが、番組の視聴率が上がるごとに綺麗になっていく。最初はきゃんきゃんうるさいだけだったのが、努力に努力を重ねる姿に共感すら覚える。
結論。この映画、このキャスティングだったからこそ良かったのだと思う。来れ見てちょっとは仕事がんばろうという気になったよ。
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東京国際映画祭「クリエイション  ダーウィンの幻想 Creation」 [映画]

「クリエイション  ダーウィンの幻想 Creation」

監督:ジョン・アミエル
ポール・ベタニー、ジェニファー・コネリー、ジェレミー・ノーザム

19世紀、当時の宗教、哲学に反する画期的な生物学理論を確立した「種の起源」の作者チャールズ・ダーウィンとその家族を描くドラマ。ダーウィンとその献身的で篤い信仰心を持つ妻エマを、実際におしどり夫婦として知られるポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーが演じる。製作は『ラストエンペラー』のジェレミー・トーマス。

注:はげしくネタバレします。

この映画を見ていて、最初のうちはあまりにダーウィンの苦悩を見ているのが辛くて、さらに治療と称する数々の恐ろしいことに辟易し「なんでこんな辛い思いしに、こんな映画なんか見ちゃったんだろう」と思ってしまった。
最初は「種の起源」が教会の教えに逆らうことになると、それを危惧して出版をためらっているのだと思っていた。
しかしそれは原因の一つで、彼にはもうひとつ心に秘めたある疑問があったのだ。
それを口に出したとき、彼は救われる。

ダーウィンの「種の起源」はアメリカのある州では全く認められていないという。
それほどキリスト教にとっては全てのものが神が作ったという考え方は重要なのだろうか?
その感覚がよく分からないので、ダーウィンの苦悩の程が理解できたとは思えない。
しかし信仰とは宗教に限らず、生きてゆく支えになるのは理解できる。
自分の娘を失い(助けてくれれば生涯を捧げると誓ったが、神は、応えてはくれなかった)それがきっかけで夫婦の仲もぎこちなくなっていく。彼の心の中には自分の選択が正しかったのか、妻が責めているのではないかという疑問と、いとこ同士の結婚で生まれた娘の血の濃さが、病気の原因ではないかという不安がうずまいている。
しかし不安を持っていたのは妻も同じで、彼女も娘の死に責任を感じていた。
そして二人は結婚すべきでなかったというダーウィン。しかしそれでも二人は愛し合っていたのだ。
「僕はただ君と一緒にいたかったんだ」
「もし私がこうなると分かっていても、明日の私はあなたと結婚するわ」
ほんのちいさな一言で、人というのは救われるときもあるのだなあ。
結局愛が彼を救った訳だ(笑)

それにしてもイギリス映画の画面は美しい。
緑豊かな自然も、やさしい色合い。しかし時としてダーウィンの書斎の雑然さなど、偏執的に細かいのも面白い。自然のサイクルを早回しで見せるあたりはBBCのドキュメンタリーみたい。
オランウータンの演技もすばらしく、彼女のエピソードは涙を禁じ得なかった。
事実に基づく話だけれど、ほんのすこしのファンタジー色が、見終わった後に妙に印象に残る作品だった。



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東京国際映画祭 「タンゴ・シンガー」 [映画]

子供の頃家ではよくタンゴのレコードをかけていた。それでタイトルに惹かれて、国際映画祭ワールドシネマ部門の「タンゴ・シンガー」を見た。

タンゴ歌手の女性が失恋の痛手から立ち直れず、苦悩する姿を多角的な視点で描いた作品。
視点や時間軸を変えて描く手法は、時として観客を混乱させる。
それでも、色々な可能性を秘めた未来の予感を指し示している事に気づいたとき
自分だったらどうするか?そう問いかけられているような気持ちで見るようになった。

しかし主人公の女性には最初とても共感を覚えることはとうてい無理だと感じた。
それほど勝手で極端なのだ。言ってみればストーカーまがいのことを別れた男性にしたり、
仲間を捨ててさっさと出て行ったり……いやはや、激しい。

映画の後に監督と女優による質問コーナーがあって、この映画の内容、解釈について観客と色々話をしてくれた。
そこでこの主人公の身勝手さ(というかはっきりストーカーみたいと言う感想もあがっていた)についての質問が出ていた。おどろいたことにアルゼンチンではそんなに突飛でなく、実際監督や女優さんの周りにもこういった行動をする人はいるそうだ。(もちろん監督達も「決してほめられた行動ではないが、と前置きしている)
とにかく熱いというか、人生においての恋愛は一大事なのだ。

とくに監督は主人公がより極端な性格に描き出しているという。これは共感難しいわ(笑)。

しかし、後半になるといくつかの可能性をパラレルワールドとして描き出すので、時間が行きつ戻りつする。おおまかには2つの世界が描かれる
一つは失恋を抱えぼろぼろになりながら、それでも歌手としては成功していく世界。
もう一つは全てを捨てて(国さえも)新しい生活を始め、傷を癒し、自立していくという世界。
私はこの自立していくときの彼女の表情の変化や歌を取り戻す姿にすごく救われた。
いずれにしても彼女は歌から離れられない。

特筆すべきはエレナ役のエウヘニアさん。彼女は歌手ではく、1年半の特訓を受けたという。それでも彼女の歌は良かった。そしてライブのシーンは、全てライブで撮影しているという。後から音を入れたりとかしていないのだ。それだけに気迫のようなものが伝わってくる。
そして、タンゴの歌詞が物語の内容とすごく合っている。この映画のために書き下ろしたのかと思うほどだ。それほどアルゼンチンの人の人生はドラマチックなのかな(笑)
映画に登場する歌の師匠は、この映画のためにエウヘニアさんを教えてくれた、有名なタンゴ歌手らしい。彼の歌うシーンもすばらしい。こんな年寄り(失礼)なのに、なんだか艶っぽい!

最後にエレナが歌う歌、「私が誰で、どこから来たのか誰も知らない。しかし私は自分が何者か分かっている」といった内容なのだけど、彼女そのもののような歌だった。すごく気に入ったんだけど、歌の名前が分からない。残念。
いままでタンゴというと曲とダンスしかイメージになかったけれど、歌もすばらしいと言うことが分かった映画でもありました。

監督/脚本/撮影:ディエゴ・マルティーネス・ヴィニャッティ
主演:エウヘニア・ラミレス・ミオリ

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音楽は世界を救えるか? 難民映画祭『ウォー・チャイルド』 [映画]

10/1より第4回難民映画祭が始まった。
最初に名前を聞いた時は、なんて名前つけるのよ?と思いましたが
初日にやる映画が面白そうなので、行ってみました。

『ウォー・チャイルド』
監督:C・カリム・クロボック 出演:エマニュエル・ジャル
「祖国スーダンの平和を歌う、エマニュエル・ジャル。孤児、少年兵、難民を経て、ミュージシャンとして成功する壮絶な人生は、眩いばかりの生命力と希望に満ちあふれている。祖国とアフリカの平和と希望を歌い続ける彼の音楽は、映画『ブラッド・ダイヤモンド』でも採用された。」(HPより)
http://warchildmovie.com/
↑トレイラーが見れます

映画の中でも誰かが「もし僕がスーダンで暮らしていたら、一生カウンセリングの世話になる」みたいな事を言っていましたが、まさしく壮絶です。
それをジャルさんが、自らの体験を落ち着いた声で淡々と話すのが印象的でした。

映画の中で彼の音楽が色々流れます。ライブシーンやキャンプや学校で歌うシーンもあり、言葉の響きとか、ポジティブな歌詞が魅力です。
ラップってもっと怒りをぶつけるようなイメージがあったのですが、彼は説得してるような感じで歌います。そして祖国のために何が出来るのだろうかと常に行動しています。

映画の中で子ども達が何人かうつります。その中の一人がなんと20年前のジャルさん本人!映画とは関係なく記録が残っていたそうです。屈託無く笑っていても、話す内容は川にしたいが浮いてたとかすごい内容です。
子どもが子どもらしい時間を過ごすことの出来ない国…辛いなあ。
なかでもある男の子の夢の話に胸が傷みました。その子の夢は、自分で飛行機を操縦して、どこにでも飛んでいけるようになること。「そうすれば突然家が壊されることなんかないよね」
ここ日本に住んでいて、突然家が燃やされたり、他の国へ命からがら逃げねばならない事は決して起こりません。でも、この子達にはそれが日常です。なんだかすごく辛い……もう涙が押さえられませんでした。
更に、ジャルさんの妹の話も辛いです。とてもひどい目にあったことを初めて兄に語り、涙ながらに自分たちの国に必要なのは教育だと訴えます。
目先の欲に目がくらみ、人の命を軽んじる……そんな大人にならないために、教育は必要なのだと。

とにかく内容はすごいです。でも音楽と今の彼の姿に希望が見えます。

最後に監督のトークセッションがありました。
監督は最初はラッパーやヒップホップスター達の記録映像を撮るつもりではじめたそうですが、エマニュエル・ジャルという人にあって、その半生を聞いて映画にすることにしたのだそうです。
こういう映画を撮るために、難民キャンプなどに足を運ぶと、色々な人たちが話をしに群がってくるのだそうです。中には30年も難民キャンプで暮らしている人もいて、みんな自分の体験を誰かに知ってもらいたいと来るのだそうです。話すことが自分自身の癒しになるのだと……それを聞いてこういう映像を撮るもう一つの意義を知りました。

また、UNHCRの職員の方が、難民キャンプに行くとあまりに出来ることが少ない無力感にさいなまれると言いました。一人に出来ることは少ない。それでも自分が難民の人たちに替わって目になり耳になるのだと話していたのも印象的でした。

また、アフリカの人たちはみんな音楽が好きなのね。あらゆる所、あらゆるシーンで人々が歌い、奏でる姿をこの映画では見ることが出来ます。
音楽があるから、ほんの一時でも救われる。

また、ジャルさん自身も音楽で救われています。スーダンは南と北に分かれて戦っていましたが、北のミュージシャンと一緒に曲を作り演奏したことにより、彼の中の憎しみが薄らぎ、その曲が彼を世界に送り出すヒットになりました。

途中映画を見ていてつらくって、何でこんな辛い映画見ちゃったんだろう何て思いましたが、終わるころには「見て良かった」と思える映画です。

後もう1回上映あるので(日曜日)、機会があったら見てください。
監督や色んな人のトークセッションもあるよ。

ちなみに映画祭は無料です。(…無料だったけど映画サービスデー1回分は寄付したよ。)
イタリア文化会館めっちゃきれい。

あと何本か見たいのあるんだけど…見れるといいな…
10/1-8 難民映画祭 東京 http://unhcr.refugeefilm.org/
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